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山形の芋煮について [山形・米沢の件]

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 季節がらテレビを見ていても山形の芋煮会の話題を多く見かけるようになった。特に山形市で15日あたりに開催された、「日本一の芋煮会フェスティバル」の映像は毎年のことながら何度も目にした。人口25万人そこそこの市で3万食/1鍋はどうかとも思う。

 先のZIPで放送された芋煮の話題に戻るが、保育園の園児が芋掘りをする場面から始まっていた。保育園、幼稚園の芋掘りと言えば、全国的にはサツマイモであろう。がここ山形では里芋のようである。

 番組では、この掘りたての里芋を芋煮にしていたように編集されていたが、実は場所を移動して「第7回ながい1000人芋煮会」に参加していたようだ。所謂山形流の芋煮の芋は、内側の薄皮を残した状態で、表面のがさがさした皮(鬼皮?)を取り除く必要がある。包丁の背でこそげ取ってもいいが、山形県内のスーパーなどでは“洗い里芋”といって白くツルツルの里芋が売られている。かつては八百屋の店先には、時期になると洗濯機を小さくしたような機械があり、これで里芋をガラガラと洗っていた。

 首都圏のスーパーではこの洗い里芋がなかなか売っていない。あるところにはあるのだが、結構珍しい気がする。以前の職場で芋煮会を開いたことがあったのだが、この洗い里芋と使い捨ての丼が手に入らず苦労した覚えがある。20年も前のことだが、日帰りキャンプやバーベキューが流行りだした頃だったので、紙皿はあったのだが、河原で汁物を扱うのはそれなりに苦労した。キャンプ場でなければ大量の水もなかなか調達しにくいものである。

 山形流の芋煮の里芋は、こうして洗って薄皮を残したものでなければならない。京都の和食のように包丁で六方にでも剥いてしまったら、風味も落ちるし、ぬめり感も出ない。ちょっと火が通り過ぎるとドロドロになってしまう。できれば薪の燃える匂いとセットになれば最高の芋煮となるだろう。(ここ大事)

 ところで芋煮(会)の由来を20年前にも調べてみたことがある。(諸説あるようだが、)江戸時代に北前船による海上輸送が盛んだったころ、その物資を酒田港で積み替え、最上川を遡るのだが、終点となる長井付近で、運んできた物資の一つの棒鱈と、ちょうど収穫期が重なる里芋を、収穫祭を兼ねて船員たちに振る舞ったのが始まりということであった。その後さらに上流の米沢へ伝わると、東日本では珍しい牛肉文化と融合し現在の芋煮となるのである。

 最近、JR東日本のCMでも吉永小百合さんが長井のことを紹介されているし、「北前船 芋煮」で検索しても同様の結果が表示される。

 お気づきと思うが、前回に続き、ここでも最上川とは直接関係のない山形市は登場しない。かつての文化は最上川中心であったのかもしれない。近年になって山形市の馬見ケ崎川で行われる「日本一の芋煮会フェスティバル」は、米沢出身にとっては、「持って行かれた感」が強い。長井市の「ながい1000人芋煮会」の方が正統ではないかと思う。

 正統と言えば良く「うちの芋煮が正統派だ」と主張しているのを耳にする。山形vs宮城、内陸vs庄内、山形vs米沢、米沢vs周辺地域など。例えば、山形市の芋煮は里芋、牛肉、長ネギ、こんにゃくのみで醤油味のシンプルなものであるが、米沢では豆腐が入ったり、きのこ類が入ったりする。米沢周辺の置賜地方では、さらに大根や人参が入ったりもする。ルーツに近い庄内では肉が豚肉で、ごぼうが入り、味噌味だったりする。

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 実は芋煮会は山形県内の職場、学校、町内会などのイベントとしても行われており、もちろん私が高校時代にも何度か企画されている。その際、列車通学しているような友人と話をすると、大根や人参、厚揚げを入れたがる。当時は、「だから田舎者は(んだがら ざいごは こまっづ)」とバカにしていたが、米沢自体が田舎だということを忘れていた。当時は田舎へ行くほどいろんなものを入れるという印象があった。

 だからと言う訳でもないのだが、山形市の人間に、「豆腐は入れねべ」と言われると、むっとしたりする。しかし、今では、味噌味、塩味、シメはカレーなどと自由にアレンジするのもありかと思うようになった。もともと、棒鱈を牛肉にアレンジしているのだし。

 米沢出身の者にとっては、最上義光から続く山形藩にも、だいぶ持って行かれた感は感じているのだが、単なるひがみだったりもする。さらには、最近では芋煮は宮城にまで持って行かれそうだ。「ずんだ」は既に宮城に持って行かれてるようだが。(米沢市・置賜地方では昔から“じんだん”、山形市・村山地方では“ぬた”と呼ばれていたのだが。)

 米沢、山形の食文化、諍いについては機会があれば。


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タグ:里芋 芋煮
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